タイトル:「Nata le」 ポップンミュージックより MZD・六
P.N.:アンクウ様  サイト:『空色症候群

清しこの夜。

誰もが心を開放する日。
誰もが夢見心地に溺れる日。

彼も例外ではなかった。

Nata le


12月24日。
聖夜だのクリスマス・イヴだの世間様は騒いでいるが
彼にとってはどうでもいいとすら思わないモノであった。
煩悩を嫌う彼の心を動かすのは酒。
それと彼が独断で見た面白い世界だけ。

神を祭るこの日。
彼は人々が伝え、讃える「神」というものは人々の煩悩が産んだモノだと思っている。
都合のいいときは助けを求め、
都合の悪いときは祟りだの神のせいにする。

なぜこんなにも欲望の渦巻くイキモノを作ったのか。

「まあ、聞いたってアイツは答えてくれやしねぇんだろうけどな・・・・・。」
「呼んだか?」

独り言のつもりだった。
だがソレは1人の男によって果たされないものとなった。

「MZD・・・・・・・・・。」
「よ。独りで手酌たぁ、お前もそーとーアレだな。」
「お前こそ、何の用だ?いつもと同じく色んなヤツらと騒いでいたんじゃなかったのかよ。」
「そうだったんだけどな。・・・・もう時間が時間だ。 いい子ちゃんはオネムの時間だってよ。」
「・・・しかし可笑しなものだ。」
「何が?」
「神を祭る日に、神が一緒になって騒いでいるなんてな。」
「・・・・・・・そーだな。」

悪戯めいた顔で笑いながら言う。


冷えた空気の中。
2人は酔うこともなく、佇んでいた。

「オレは、お前が神でよかったと思う。」
「ん?」
「お前じゃない誰かが神じゃなくてよかった。」
「・・・・・・どーした。」
「お前は、今どんな気持ちだ?」
「・・・・・・・?」
「この風景を見て、だ。」

六が促したのは目の前に広がる人工物達。

「キレーじゃねえの?」
「・・・・・・・・・・・・・そうか。」
「今日は、聖夜だぜ。どんな人間にも夢を見せてやれる日さ。」
「・・・それが、お前の義務か?」

聞いてはいけないことだとは解っている。
だが聞かずにはいれなかった。

「いや、いい・・・・・オレはずるい人間だな。要らない質問をした。忘れてくれ。」
「飲めよ。」

取り出した(何処に仕舞っていたのかは不明)のはシャンパーニュ。

「洋酒は好かん。」
「そう言うなって。付き合えよ。」
「・・・・・言っとくがオレはザルだぞ。」
「誰に向かって言ってんだよ。」

誰もが、幸せを求められる夜。
その夜は、すぐに明けた。



Astro del ciel, pargol divin
Mite agnello redentor
Tu che i vati da lungi sognar
Tu che angeliche voci annunziar
Luce dona alle menti
Pace infondi nei cuor

(天に輝く星よ 神聖なる御子よ
おだやかな羊のような救世主よ
あなたを予言者たちがどれほど長く夢見たことか
あなたを天使の声がどれほど告知したことか
光よ 皆の精神に届きたまえ
平和よ 皆の心に目覚めたまえ)

Buon Natale




※注釈
Nata le=イタリア語でクリスマス
Buon Natale=イタリア語で「メリークリスマス」
シャンパーニュ=フランス原産のワイン
ザラ=酒豪、大酒飲みのことです。
途中にある詩はイタリア語の「清しこの夜」です。

 

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