タイトル:「奇跡の魔法」 名探偵コナンより工藤新一×毛利蘭
P.N.:里見真白様  サイト:『Jour et nuit

こんな特別な日、一緒に過ごせるなんて、奇跡だよ。

「愛してる」
そんな言葉を何度囁いても、君に届くか不安なんだ。

「好きだよ」
そう告げた唇で、君の唇を塞ぐ。

「俺を見て」
そう言って、君の瞳を独り占めにして、愛を語ろう。

窓の外には、綺麗なイルミネーションで、飾り立てられた街並が広がっている。
その光景を眺めながら、俺は思うよ。
今君がここにいる幸せを、永遠のものにしたい、と。

こんなにも好きになったのは、初めてで。
どうしていいのかなんてわからなかった。

大切すぎて、酷いこともしたよね。
君を傷つけて、いたんだよね。

でも、もう大丈夫だよ。
一人にしないから。
ずっと側にいるから。

だから、もう一度、笑って。

「蘭・・・」
そう呟いたのに、君の返事は聞こえない。
寝台に横たわる愛しい人を眺め、俺は苦笑を漏らした。

ようやくもとの姿に戻れたのは、神様がくれた奇跡なんだろ?
だったら有効活用しないと。
そうは思っても、君が目を開けてくれないと意味がないよね。

たった一晩だけの、奇跡、なんだから。

「・・・新一・・・」
寝言で呟いた言葉に、敏感に身体が反応した。
身じろぐ君の眠る寝台の端にそっと腰を下ろす。
頬に張り付いた髪をゆっくりと剥がし、頬にそっと触れてみた。
そのまま、顔を近づけ、君に口付けしよう。

「愛してる、ずっと」
でもその言葉が、君を縛るのなら、もうやめないといけないよね。

「愛してた、と言うべきかな」
自嘲するように、俺は笑った。

「ごめん、蘭・・・」
そっと目を伏せてしまう。

これ以上、側にいれば、きっと君を傷つけてしまうだろう。
俺の好奇心のせいで引き起こしてしまったことに。
あいつらが君を狙うその前に。

「なぁ、蘭。
 俺以外の奴をお前が選んでも、俺は何も言えねぇよ、な」
そう呟いて、その髪を撫でよう。

「もう、待たなくてもいいから」
悔しさがこみ上げてくる。

「だから、蘭・・・」
その言葉の続きを口にするだけの勇気がなかった。


何度考えても、見つからない答えが、もどかしい。
どこに行っても、奴らは追ってくるだろう。
俺の存在は、もうばれているとしか思えないのだから。

「ん・・・新一・・・」
君の目に涙が浮かぶ。
そっと人差し指で拭ってやり、俺は立ち上がった。

「ごめんな、蘭・・・」
何度謝っても、きっと許してはもらえない。
それでも謝らずにはいられない。

部屋を出ようとした瞬間、何かが動く気配が感じられた。
「・・・新一・・・?」
寝台の上で、目を擦りながら起きた君が、そう呟くのを聞いた。
でも、答えることなんてできない。

目を伏せたまま、俺はその扉を閉じた。
閉めた扉によしかかるように、俺はその場に崩れた。

「今日だけ、なんだよ」
宙を眺めるように、俺は呟く。

「一夜だけの奇跡なんだ・・・」

魔法が解ける。
朝日が昇るそのときには。

もう二度と、元には戻れないかもしれない。
また小さな子供に、戻ってしまうのだから。

 

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